10.夜叉猿の正体とは
前章の結論が正しいとすれば、到着が遅れていた
4人目のリザーバーとは、夜叉猿Jrではなく、実はアレクサンダー・ガーレンだったのではないでしょうか。猿がリザーバー、などというふざけた話を、他の選手たちは認めるのでしょうか。もし夜叉猿
Jrが選手として出場し、優勝することにでもなったとしたならば、選手たちはおとなしく納得したのでしょうか。そもそも、ガーレンはどういう立場で地下闘技場に来ていたのでしょうか。
タクタロフのセコンドか? タクタロフはサンビストであり、格闘技の素人のガーレンがセコンドになるとは思えません。
VS烈戦中も姿が見えませんでした。単なる観客としてか? ウラン鉱石掘りで忙しいガーレンが、極東の島国までわざわざ見物に来るとも思えません。
やはり、ガーレンは“リザーバー”として御老公に呼ばれて来た、と考えるのが最も妥当と考えられるでしょう。
しかし、夜叉猿については次のような仮説もあります。
グラップラー刃牙にはさまざまな謎がありますが、「魔獣・夜叉猿とははたして何者か?」という謎はその中でも極めて大きな謎です。
日本猿ではもとよりありません。
マウンテン・ゴリラならばあのように頭毛が長くはありませんし、第一ゴリラは草食性です。
特別に巨大化したオランウータンでしょうか。あのような巨大なオランウータンがあり得るのでしょうか。
謎はまだあります。徳川御老公は、夜叉猿を最大トーナメントの“リザーバー”として地下闘技場に連れてきました。本気でしょうか? 結局は克巳にやられてしまいましたが、もし夜叉猿が脱走しなければ、そして負傷欠場者が多く出たならば、夜叉猿がリザーバーとしてトーナメントに出場していたのでしょうか? そして、もし夜叉猿が優勝していたならば、正式の優勝者になるのでしょうか?
10億円のベルトを与えて飛騨の山奥に帰してあげたのでしょうか?まあ、結局は刃牙かジャックかに倒されるでしょうから、夜叉猿の優勝はないかもしれませんが、優勝しなければよいというものではありません。
猿が出場してよい、ということになりますと、ライオンだって、シロクマだって、アフリカゾウだって、シロサイだって出場してよいということになります。刃牙の優勝は真実のものとは認められず、ライオンやらシロクマやらが次々に刃牙のベルトを狙って挑戦者として名乗りを上げてくるでしょう。スカンクなんかが挑戦してきたら、刃牙はどう闘えばよいのでしょうか。観客はガスマスクを被って観戦するのでしょうか。
だいたい、大会規約に明記されていようがいまいが、出場者が人間に限る、なんて常識以前の当たり前ではないですか! 「おッおい、聞いてないぜこんなの…おい…」ゲランの言う通りです。アホか徳川御老公は!!
夜叉猿とははたして何者か? 出場者が人間に限るのは常識以前ではないか?
この謎に対する解答は、一つは前述のように「実はリザーバーではなかった。真のリザーバーはガーレンだった」というものです。
しかし、もし夜叉猿
Jrが真にリザーバーだったとするならば……真相はたった一つしか考えられません。それは……そうです、夜叉猿は実は「 人間 」だったのです!オランダの古生物学者ラルフ・フォン・ケーニヒスバルトが、約
50万年前に生息していた古代人類(猿人)に属する化石を中国南部で発見しました。身長は約2.5〜2.7メートルにも達すると推測されています。この巨大猿人は「ギガントピテクス」と名付けられました。脳の大きさは現生人類の3分の1程度ですが、直立姿勢をとり、知能は高く石器を使用していたと考えられています。このギガントピテクスの生き残りこそ、夜叉猿の正体なのではないでしょうか!
夜叉猿がギガントピテクスならば、原生人類ではないとはいえ「人間(人類)」には間違いありませんから、立派に出場資格があります。むしろ出場を拒めば、「人種差別(!)」以外の何ものでもなくなります。徳川御老公は、学者の鑑定書などを用意し、文句を言う者にはそのように反論する予定だったのでしょう。
思うに、御老公は出場をグズっているアレクサンダー・ガーレン用の対戦相手として、夜叉猿
Jrを用意したのではないでしょうか。「『人類最強の男』じゃと? 本当かの。そんならこいつと闘って証明してもらおうかの。しッしッしッしッしッ…」